文化の交差点となる「街なか旅館」目指し
音楽と食、寄席など多彩なイベントを企画。「様々な人たちに開かれた場に」
「国スポで慌ただしく駆け抜けた2024年から一転、『街なか旅館』とはどういうことかを、改めて深く考え、実践した一年でした」と2025年を振り返る。音成氏は1889(明治22)年創業の老舗旅館を継いで3年目。「文化発信を通じ、佐賀の発展とお客様の心を豊かにする」という経営理念に基づいて、約40年続ける「あけぼの寄席」や一昨年始めた日本酒とジャズのイベントに加え、朝食を楽しみながらクラシックの生演奏を聴く「Morning breakfast at AKEBONO」、本格的なフレンチ菓子を気軽に学べる「あけぼの製菓教室」など、世代や関心の異なる人々がそれぞれの切り口で文化に触れられる“場”づくりに次々取り組んだ。
今年で3年目に突入する日本酒とジャズのイベント。 県外からの参加者も増えてきた
「温泉もないし、美しい借景もない。旅館にとって『街なか』は実はハンデ。そこでやっていくには独自路線を行くしかない。それが先代たちが取り組んできた文化発信。街なかだけど、この空間に一歩入れば非日常が感じられ、心が豊かになり、癒される。そんな存在でありたい」。写真家として知られた先々代の音成三男氏、佐賀ユーモア協会事務局長として活躍した先代の日佐男氏が紡いできた「文化」という軸を受け継ぐ。
一方で時代への目配りも忘れない。近年のインバウンド客に対応すべく、英語、韓国語が話せる社員も採用した。「佐賀を訪れる海外のお客様は日本通が多い。博多や別府などの観光地を経験した後に落ち着いた所を求められるのかもしれない」。
テレビ番組のコメンテーターなど活躍の場を広げながら、今年はさらに「街なか旅館」を体現していきたいと言う。「取り組んできたイベントや文化企画を継続的・発展的に展開していく。皆さんが『なんだか楽しそう』と感じてくださるような企画を通じて『あけぼの』という空間が、文化の交差点として機能するような、そんな場づくりに取り組んでいきたいと思います」。
有限会社旅館あけぼの
佐賀市中の小路3-10
FAX:0952-23-5196