2026
顔写真
株式会社イツワ工業 代表取締役
吉田 直人

海苔生産機械の開発会社が食品の製造に挑戦

逆転の発想で色落ち海苔の価値を高める加工品「Bumpy」を開発

 佐賀市を拠点に、海苔生産機械の開発・販売およびメンテナンスを手がける同社。 自動乾燥機や折曲・選別機など、約20品目の機械を取り扱い、長年にわたり海苔生産者を支えてきた。 顧客である生産者の声を直接聞き、要望に応えるだけでなく、さらに付加価値を持たせる──。 そんな姿勢のもと、取引先メーカーと提携しながら独自のモノづくりを続けている。 「根っからの機械好き」と語る吉田氏が着目したのが、色落ち海苔の存在だった。 近年、環境変化などの影響で色落ちした海苔が多く発生し、品質は問題ないにもかかわらず廃棄されるケースが増えていた。 そこで考案したのが、色落ち海苔を使ったチップス 「Bumpy(バンピー)」。 構想から約4年を経て、昨年10月に販売を開始した。
色落ち海苔を使ったチップス「Bumpy」。ノンフライでありながら、まるでポテトチップスのようなパリッとした食感が特徴です。
板海苔状の表面は、商品名の由来でもある「凸凹」が特徴。 半透明の緑褐色で、ノンフライでありながらポテトチップスのようなパリッとした食感を実現している。 この食感と旨みの秘密は、従来の海苔加工とは真逆の工程にある。 短時間で高温の蒸気をあて、あえて細胞を壊すことで、海苔本来の旨みを引き出す―― 特許取得済みの 「スチームドライ製法」 だ。 吉田氏は、創業から約40年にわたり海苔加工に関する特許を60件以上取得。 修理現場では同じ故障を繰り返さないよう改良を重ね、従業員も自発的に技術を磨いてきた。 その蓄積が、この“逆転の発想”を生み出した。 「黒い海苔だけがおいしい」という固定観念に一石を投じる商品として、生産者からの評価も高い。 吉田氏は次のように語る。 「まずは食べてもらい、認知度を高めたい。そしてこの技術を市場に広めていく。専用機械を購入またはレンタルで導入してもらい、収量を増やすことで、生産者の増収に貢献したい。これからが本当のスタートです」 将来的には、おにぎり用海苔などへの応用も視野に入れている。 商品は佐賀市の「まえうみ」など県内数カ所で販売。 消費者と生産者をつなぐ“橋渡し役”としての役割にも力を入れながら、培ってきた発想力と技術力で、これからも海苔生産者を支え続けていく。
株式会社 イツワ工業
佐賀市東与賀町大字田中551-6
FAX:(0952)45-4299